子供はわかってあげない
子供はわかってあげない 著者 田島列島
やわらかな印象の絵と、人間の感情の揺れ動きの描写、独特な言い回しによって、リアルとシュールとギャグ(とラブコメ)の洪水のような雰囲気が売りの漫画家の漫画家・田島列島先生の初の連載作品。週刊モーニングにて2014年ごろに短期連載されていた。上下巻で全2巻。
2020年8月現在、この人の単行本は連載中の「水は海に向かって流れる」、この「子供はわかってあげない」、この作品より古い短編をまとめた「ごあいさつ」がある。「子供」の話は、水泳部女子が探偵に実の父親捜しを依頼するところから始まる。父親は見つかるのだが、なにやら特殊な状況の人間らしく、会えたから終了、とはいかない。長年会っていなかった父娘の微妙な距離感と男女の関係がたまらなく面白い。
好きな言葉は「真水をくらってくる」 下巻73ページ
カブのイサキ
月間アフタヌーンにて2007年から連載された漫画。全6巻の単行本が出ている。
小型飛行機、半ファンタジー半現実世界というようなジャンル。鎌倉や富士山などという地名が出てくることから、一応は「日本」なのだが、この世界では地面が広いため、飛行機が主な移動手段になっているようである。中盤はストーリーがあるが、基本的には飛んで、空気を感じ、広いにおいを感じ、自由を感じ、どこまででも行けるのだと実感する、実感できる。広くどこまででも続く未知の世界を自由気ままに飛んでいく様子はうらやましくなる。雰囲気を楽しむ漫画である。
時折、主人公がこの世界ではないところに居るような演出がある。所説あるが、何を示しているのかは謎のままである。